東京・三鷹にある「天命反転住宅」は、カラフルでユニークな外観が目を引く、まるで美術館のような建物です。
しかし、見た目のインパクトに反して「ここに本当に住めるの?」「家賃っていくら?」と疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
普通の賃貸物件とはまったく違う、“アートとしての住宅”。
その背景には、芸術家・荒川修作と詩人・マドリン・ギンズによる深い思想が込められています。
今回は、そんな天命反転住宅について、「家賃」「入居条件」「実際の住み心地」などを中心に、徹底解説していきます。
観光だけでなく、実際に住むこともできるこの建物。
その魅力とリアルに迫ります。
天命反転住宅の家賃相場|三鷹エリア内では高い?安い?
月額15〜22万円|広さと設備に応じた価格設定
結論から言うと、天命反転住宅の家賃は月額15万円〜22万円前後が相場です。
間取りは1LDK~メゾネットタイプが中心で、広さは50〜70㎡程度。
三鷹エリアの賃貸平均(約10〜14万円)と比較すると高めですが、“アート住宅に住む”という特別な価値が含まれています。
例えば、同じ東京でもデザイナーズ物件で有名建築家が手がけた部屋になると、家賃30万円を超えることも珍しくありません。
その点で見ると、天命反転住宅はむしろ“良心的な価格設定”ともいえます。
共益費・初期費用もチェックしておこう
賃料のほか、共益費や管理費も発生します(例:共益費 月5,000円〜)。
また、賃貸契約時には敷金・礼金、保証会社利用料、火災保険など、初期費用がかかる点にも注意が必要です。
契約形態や時期によって条件が異なることがあるため、公式サイトまたは管理会社へ事前確認をおすすめします。
現在の空室状況と入居までの流れ
全9戸のみ|常に満室に近い人気物件
天命反転住宅は全部で9戸と非常に限られた戸数で構成されています。
そのため空室が出るタイミングは不定期で、1室が募集に出るとすぐに申し込みが入ることも多いです。
現時点(2025年3月時点)では、公式サイトでの空室情報の確認が最も確実です。
入居までのステップと注意点
一般的な賃貸と比べて、入居の流れが少し特殊なのも天命反転住宅の特徴です。
入居の流れ:
- 空室情報を確認(公式サイトまたは管理会社)
- 見学予約(ツアー形式が多い)
- 面談・ヒアリング(建物への理解度確認)
- 審査・申し込み
- 契約・入居開始
この建物は“住めるアート”という性質上、住居としての利便性よりも「思想に共感しているか」が重要視されます。
そのため、ヒアリングで「なぜ住みたいのか」「思想に共感しているか」といったやり取りが行われることもあります。
天命反転住宅とは?生きる力を問う“住めるアート作品”
荒川修作×マドリン・ギンズの思想を体現する空間
天命反転住宅(Reversible Destiny Lofts)は、芸術家の荒川修作と詩人・哲学者マドリン・ギンズによって生み出された集合住宅です。
彼らの思想「Reversible Destiny(天命反転)」とは、「死を当然とせず、生を積極的に再設計する」という独自の哲学です。
この建物は、その思想を建築で“体感”させるための場であり、まさに「生きることそのものへの挑戦」を住まいという形で実現した空間です。
建物全体がビビッドカラーで彩られ、内部には段差や傾斜、不規則な形状の部屋が連続しています。
住む人の身体感覚を刺激し、日常を“能動的”に過ごすことを促す設計意図が込められています。
「住宅なのにアート?」日常をゆさぶる設計の秘密
床が斜め、天井が不均一——非日常を暮らしに持ち込む
フラットな床はほとんどなく、ゆるやかな斜面や球体のオブジェが室内に配置されています。
部屋ごとに色彩が異なり、壁の曲線や天井の高さもバラバラです。
こうした空間は、「歩く」「座る」「調理する」といった日常の動作に注意を向けさせ、身体感覚を研ぎ澄ませる意図があります。
無意識に過ごしがちな現代生活に、“気づき”をもたらす設計なのです。
見学ツアーで内部を体験|申し込み方法と注意点
見学は事前予約制|内部見学+設計解説がセット
天命反転住宅は、「住まない人」でも内部を見学できます。
定期的に開催される事前予約制の見学ツアーでは、建築意図や住空間の特徴をスタッフが丁寧に解説してくれます。
見学の流れ:
- 公式サイトやSNSでスケジュール確認
- 申し込みフォームから予約
- 当日は現地集合、1〜1.5時間程度のツアー
- 質疑応答タイムもあり
SNS映えする内装のため、撮影OKのエリアも多数。
ただし一部に制限があるので、ツアー当日の案内に従いましょう。
また、スリッパ着用必須です(持参も可)。
実際に住んだ人の声|メリットとデメリットは?
住むことで「意識」が変わるという体験
実際に入居した人の多くが語るのは、「生活に対する感覚が変わった」という体験談です。
住人の声:
- 「床に傾斜があることで、身体を“使ってる”感覚が日々ある」
- 「色彩や空間の影響で、創作意欲が刺激される」
- 「来客や見学者との交流も面白く、人とのつながりが生まれる」
一方で快適性にはクセあり
快適性に関しては、以下のような意見もあります。
- 家具の配置が難しい
- 長時間いると目が疲れる
- 掃除や整理整頓がしにくい
「非日常が日常になると疲れる」というのはリアルな声かもしれません。
どんな人に向いている?価値観によって変わる“適性”
刺激的な暮らしを求める人にフィット
天命反転住宅は、以下のような価値観を持つ人におすすめです。
- 日常に変化や刺激を求める人
- 芸術や哲学、建築への関心がある人
- 住まいを“体験”と捉えている人
逆に、以下のような人にはやや不向きです。
- 静かで落ち着いた空間を好む人
- 快適性や安定感を重視する人
- 生活に余計な負担をかけたくない人
まとめ|三鷹・天命反転住宅は「人生観が揺れる家」
天命反転住宅は、生き方そのものを再考させる“住める哲学空間”です。
単なるデザイン住宅ではなく、暮らしの中で自分を問い直す場。
家賃や条件で比較するのではなく、「この空間でどう生きるか」が問われます。
興味がある方は、まず見学ツアーでその空気感を体験してみてください。
きっと何かが“反転”する瞬間が訪れるはずです。