近年、新型ゲーム機の発売と同時に必ずといっていいほど話題になるのが「転売問題」です。中でも任天堂の大人気ハード「Switch」シリーズは、発売のたびに高額転売が横行し、正規の価格で手に入れたいユーザーたちを悩ませてきました。2025年に登場が期待される「Switch2」も例外ではありません。本記事では、なぜSwitch2が転売の対象になりやすいのか、その問題点と背景、そして私たちができる対策についてわかりやすく解説していきます。
転売とは?Switch2でなぜ問題になるのか
転売の基本的な仕組みとは
転売とは、ある商品を安く購入して、それを高値で別の人に売ることで利益を得る行為です。たとえば、限定商品や新発売の人気アイテムを正規の価格で買い、それをフリマアプリやオークションサイトなどで高額で販売するという形が一般的です。これ自体は一見すると商売のようにも思えますが、実際には多くの問題を引き起こしています。特に、ゲーム機やコンサートチケットなど、数に限りがある商品では深刻な混乱を招いています。
Switch2のような新型ゲーム機は、ファンの期待も大きく、発売直後には需要が爆発的に高まります。このタイミングを狙って、一部の人が複数台を買い占め、それを数万円高く売るというケースが後を絶ちません。これが「転売ヤー」と呼ばれる人たちの手口です。彼らは商品の入手よりも、利益を得ることが目的であり、本当に欲しい人にとって大きな障害となります。
さらに、問題なのは「一般の消費者が正規の価格で買えなくなる」ことです。予約開始と同時にサイトにアクセスしても買えず、後から高額な価格でしか見つからないという現象は、すでに多くの人が経験しています。これが転売問題の本質なのです。
Switch2発売前から懸念される転売の動き
Switch2が正式に発表される前から、SNSや掲示板ではすでに「予約争奪戦」の話題が飛び交っていました。任天堂の新ハードはこれまでにも転売対象として人気があり、Switch、Switch Lite、そして有機ELモデルも例外ではありませんでした。そのため、次世代機であるSwitch2に対しても、転売ヤーは早くから目をつけていました。
特に、販売時期が近づくと、Amazonや楽天、ヨドバシカメラなど大手通販サイトの「予約開始日時」を巡って情報戦が始まります。こうした情報はX(旧Twitter)や転売グループのLINEなどでリアルタイムに共有され、一般の購入者よりも早く動けるよう準備されているのです。
また、転売ヤーの多くは自動購入ツール(ボット)を使っています。これにより、予約が始まると同時に高速で商品をカートに入れ、決済まで完了させることができるため、人力で購入しようとする一般ユーザーが太刀打ちできないのです。こうした準備の徹底ぶりが、Switch2の正規購入をより困難にしているのです。
価格が高騰する仕組み
転売によって価格が高騰する仕組みは、とてもシンプルです。商品が市場に出回る数が少ないのに対し、欲しがる人が多ければ、価格は自然と上がります。これが「需要と供給のバランス」による原理です。しかし、転売ヤーはこの「供給の不足」を人工的に作り出しているのが問題です。
彼らは複数台の商品を買い占め、フリマアプリやオークションサイトに出品する際に「正規の価格の2〜3倍」という金額を設定します。欲しい人にとっては、正規ルートで買えない以上、その高額商品を選ばざるを得ないのです。これによって転売市場がさらに活性化し、結果として価格はますます高騰していきます。
たとえば、Switch(有機ELモデル)が登場したとき、定価が約38,000円であるにもかかわらず、発売直後は70,000円以上で取引されていました。同じような現象がSwitch2でも起こる可能性は高く、すでに一部では「発売日翌日には10万円超えの出品が出る」とまで噂されています。
なぜSwitchシリーズは転売されやすいのか
Switchシリーズはなぜこれほどまでに転売の対象になりやすいのでしょうか?
理由は複数ありますが、主に以下の4つが挙げられます。
-
世界的な人気:任天堂のゲーム機は国内外で高い人気を誇り、需要が非常に大きい。
-
生産数の制限:半導体不足などの影響で、初回出荷分が限られている。
-
子どもから大人までの幅広いユーザー層:世代を問わず欲しがる人が多いため、市場全体の競争が激しい。
-
ブランド価値の高さ:任天堂という信頼あるブランドがあるため、転売でも高値がつきやすい。
特に、ホリデーシーズンや年末年始といったタイミングでは「子どもへのプレゼント」としての需要も高まり、さらに競争が激化します。このようにSwitchは、転売ヤーにとって「売りやすく」「高く売れる」理想的な商品となってしまっているのです。
「正規の入手」が難しくなる背景
Switch2を正規価格で購入するのが難しい理由のひとつは、供給不足にあります。しかし、転売ヤーの存在によってその供給がさらに圧迫されているのです。転売目的で大量購入された商品が市場から一時的に消えることで、「本当に欲しい人」の手に渡るチャンスが減ってしまいます。
また、購入のチャンスが抽選制に限られているケースも多くなっており、毎週のように各ショップの抽選に応募しても一度も当たらないという声も多く聞かれます。しかも、当たったとしても引き取りの期限や条件が厳しく、働いている人や学生にとっては現実的に受け取るのが難しいことも。
このように、「正規ルートで買える人」と「買えない人」に格差が生まれ、それが不満や転売市場への依存を生んでしまうのです。Switch2の登場によって、再びこの構図が繰り返される懸念があるため、今こそ問題点をしっかりと認識し、対策を考える必要があります。
転売が引き起こす5つの社会的問題
本当に欲しい人が買えない現状
Switch2のような人気商品が転売されると、最も大きな影響を受けるのは「本当に使いたい人たち」です。ゲームが好きで、発売を心待ちにしていたファン、子どもへの誕生日プレゼントとして用意したい親御さんなど、正規の価格で誠実に購入しようとする人々が、転売ヤーの買い占めによって商品を手に入れられなくなっています。
この現象は、商品が「本来の価値」ではなく、「希少性によって作られたプレミア価格」で取引されることにより引き起こされます。例えば、発売初日に購入できなかった場合、後日どうしても手に入れたいと思えば、2倍以上の価格で購入するしか選択肢がなくなります。こうした事態は消費者の不満を募らせると同時に、ゲーム業界や任天堂へのイメージダウンにもつながります。
しかも、子どもが欲しがっていても、高すぎる価格のせいで購入を断念せざるを得ない家庭も少なくありません。転売はこうした「楽しみにしていた人たちの気持ち」を踏みにじる行為だということを、もっと多くの人に認識してほしいところです。
小売店やメーカーへの悪影響
転売の被害は消費者だけでなく、小売店やメーカーにも及びます。まず、小売店にとっては、正規の顧客に商品を届けられないことで「信用問題」になります。たとえば、予約開始と同時にアクセスが殺到してサーバーが落ちる、あるいは抽選が不正に操作されたと疑われるなど、販売そのものへの不信感が生まれてしまいます。
また、メーカーである任天堂にとっても、こうした状況はイメージの低下を招きます。「任天堂はなぜ転売を防がないのか?」といった声もSNSなどで頻繁に見られるようになります。もちろん、メーカーも転売を黙認しているわけではなく、対策は講じていますが、それでも状況を完全にコントロールするのは難しいのが現実です。
さらに、転売によって商品が高額になると、その分「売れ残り」が出やすくなり、結果として新作ゲームや周辺機器の売上にも悪影響を与えることがあります。これはメーカー全体の収益にも直結する問題であり、長期的にはゲーム市場の健全性を損なうリスクをはらんでいます。
子どもたちへの心理的ダメージ
ゲームは子どもたちにとって、友達との共通の話題や、夢中になれる遊びのひとつです。しかし、転売によって欲しいゲーム機が手に入らないという経験は、子どもにとって非常につらいものです。友達は持っているのに自分は買ってもらえない、親は頑張って探しても見つからない…。そういった状況は、子どもに「不公平感」や「がっかり感」を与えてしまいます。
さらに、子どもがSNSで「高額な転売価格」を目にしたとき、「お金をたくさん持っていれば買えるんだ」という誤った価値観を学んでしまう恐れもあります。これは健全な金銭感覚を育てるうえで非常に問題があります。ゲームの楽しさやワクワクを通して学ぶべきことが、転売によってねじ曲げられてしまうのです。
子どもの成長期において、「みんなと同じように遊びたい」「話題についていきたい」という気持ちはとても自然なものです。その機会を奪うような転売行為が、どれほど深い心理的影響を及ぼすか、私たち大人はもっと真剣に考える必要があります。
オンライン取引での詐欺被害
転売品を購入する際、多くの人はフリマアプリやオークションサイトなどを利用します。こうしたプラットフォームでは、販売者の情報が限られていたり、商品の状態が実際と異なっていたりするリスクがあります。Switch2のように高額な商品を扱う場合、詐欺の被害も発生しやすくなります。
実際に、「商品が届かない」「届いたが壊れていた」「偽物だった」といったトラブルの相談が消費生活センターに多く寄せられています。特に未成年者や高齢者は、こうしたリスクへの耐性が弱く、被害を受けやすい傾向があります。
また、転売で得た利益を非課税のまま得ているケースもあり、脱税やマネーロンダリングといった問題にもつながる可能性があります。これは個人の問題にとどまらず、社会全体として看過できない事態です。消費者としては、転売品に安易に手を出すことで「詐欺の片棒を担ぐ」ような結果になることもある、ということを理解しておく必要があります。
転売を容認する風潮の危険性
「お金を出せば手に入る」「転売はビジネスの一種だから仕方がない」――こうした考え方が広まりつつあることも、大きな問題です。確かに、資本主義社会において「需要と供給」によって価格が決まるのは自然なことです。しかし、それが行き過ぎると、不正や不公平を助長する温床にもなります。
転売を容認するということは、裏を返せば「本当に欲しい人が手に入らなくても仕方がない」と言っているのと同じです。それは非常に冷淡で、社会の連帯感を失わせるものです。特に、Switch2のように子どももターゲット層に入る商品では、「金の力で手に入れろ」という風潮は教育的にも悪影響を及ぼします。
また、転売が社会に根付くことで、転売を目的にした新たな層が生まれます。副業として軽い気持ちで始める人もいれば、不正ツールを使って本格的に利益を追求する人も出てきます。そうなれば、問題はさらに複雑化・深刻化し、より多くの人が巻き込まれるようになるでしょう。
転売ヤーの手口とその進化
ボット(自動購入ツール)の利用
現代の転売ヤーは、ただ単に早起きして買いに行く…というような単純な方法だけではありません。今では「ボット」と呼ばれる自動購入ツールを駆使して、大量の商品を一瞬で買い占める手口が主流になっています。ボットとは、販売サイトのアクセスやカート操作、決済などを自動で行うプログラムで、数秒以内に購入手続きを完了することが可能です。
たとえば、Switch2の予約が午前10時に開始されたとすると、ボットはその瞬間にアクセスし、商品を選び、決済情報を入力し、確定まで自動で実行します。人間の手では到底追いつけないスピードでの操作が可能なため、一般のユーザーが予約しようとしても、すでに完売状態になっていることが珍しくありません。
さらに悪質なケースでは、ボットの利用がオンライン販売サイトのサーバーに負荷をかけ、システム障害を引き起こす原因にもなっています。これにより、普通に買おうとしていた人たちまでサイトにアクセスできず、機会を奪われてしまうのです。
多くの企業がボット対策を進めてはいますが、ボットは日々進化しており、「画像認証」や「CAPTCHA」すらも突破する高性能なものも登場しています。このいたちごっこは、今後も続いていくと見られています。
複数アカウントを使った抽選荒らし
Switch2の販売では、転売対策として「抽選販売」を導入する店舗が多くなると予想されます。しかし、転売ヤーはこの抽選方式にも対応しています。その代表的な手口が、「複数アカウントの使用」です。
これは一人の人間が架空の名義や家族・知人の名前を使って、複数の応募アカウントを作成し、抽選に何口も応募するというものです。場合によっては、100口以上を応募するケースもあります。運営側が重複応募を検出して無効にしようとしても、住所や電話番号を微妙に変えるなどして巧妙にすり抜けることが可能です。
このような不正な大量応募によって、一般の人たちが公平に参加するはずの抽選が機能しなくなってしまいます。特に人気が集中するSwitch2では、こうした抽選荒らしの被害が広がる可能性が高いと懸念されています。
また、当選したアカウントで実際に商品を購入し、その後すぐに転売サイトに出品することで、利益を得るという流れが定着しているのも問題です。これでは「抽選販売=安心」という認識が崩れ、制度そのものの信頼性が損なわれかねません。
転売サイトでの価格操作
転売ヤーはただ高く売るだけではありません。最近では「価格の相場を意図的に操作する」手法も用いられています。これは、複数の偽アカウントを使って自分の商品に「高値で入札」したり、あえて高額で「売れた実績」を残したりして、まるでその商品に高い市場価値があるように見せかける手口です。
たとえば、Switch2が発売されたばかりの時期に、10万円という価格で落札された履歴が残ると、多くの購入希望者は「この価格が相場なのか」と思ってしまいます。そして、それに続く他の転売ヤーたちも同じくらいの価格で出品し始め、結果的に価格が不自然に吊り上がっていくのです。
このような「価格の演出」は、フリマアプリやオークションサイトにとっても大きな課題です。本来であれば、ユーザー間で自然に決まるべき価格が、操作によって不当な水準に固定されてしまうと、プラットフォーム全体の信頼性にも影響します。
消費者としても、過去の販売実績や出品者の評価などを注意深く確認し、「本当にその価格が妥当か?」を判断する目を養うことが重要です。
SNSでの転売情報拡散の影響
現代ではSNSが転売ヤーの強力な情報ツールとして使われています。特にX(旧Twitter)では、「◯◯で予約開始!」「入荷情報はこちら!」といった情報が秒単位で拡散され、転売グループ同士の連携も非常にスピーディーです。こうした情報の広がりによって、転売行為がさらに加速しています。
また、SNS上では「買えました!」という投稿とともに、購入したSwitch2の画像や販売価格が掲載され、それがまた別の人にとって「自分もやってみようかな」と思わせる動機になる場合もあります。こうして、転売の輪が広がりやすくなっているのです。
一方で、SNSでの情報発信には「転売ヤー晒し」といった動きも見られ、転売行為を非難するユーザーが増えているのも事実です。しかし、これが行き過ぎると誹謗中傷や個人攻撃に発展する危険性もあり、非常にデリケートな問題です。
つまり、SNSは転売の促進と抑止、両方の側面を持つ場になっており、私たちがどう使い、どう受け取るかが大切だと言えます。
海外での転売と国内流通の関係
転売問題は国内だけの話ではありません。実は、日本で販売されたSwitchシリーズの一部が海外に輸出され、高額で転売されているケースもあります。これにより、日本国内での流通数が減り、結果として「欲しい人に届かない」という状況が悪化するのです。
たとえば、中国や東南アジアの一部地域では、Switch本体や人気ソフトが日本よりも高い価格で売れるため、日本からの輸出を狙った業者も少なくありません。こうした輸出ルートは、Amazonなどのネットショップで大量に購入された商品が、転売業者を通じて国外に流れていく仕組みで動いています。
特に、Switch2のような最新機種は、世界中で注目されるため、こうした「越境転売」が増えることが予想されます。日本国内の供給数が限られている中で海外需要まで加わると、当然ながら価格はさらに高騰し、正規の入手が難しくなります。
このように、転売の問題は国境を超えており、国内だけで完結するものではありません。メーカーや政府が連携して、適切な輸出管理や流通制限を行うことが、今後ますます重要になるでしょう。
対策と法整備の現状と課題
チケット転売禁止法の応用は可能か?
2019年に施行された「チケット不正転売禁止法」は、興行チケットに対する転売行為を規制する法律で、興行主の同意なしにチケットを高額で転売することを禁止しています。この法律は、音楽やスポーツイベントなどでの高額転売を抑制するうえで一定の効果を上げています。では、同じようにゲーム機にもこの法律を応用することはできるのでしょうか?
残念ながら、現行の法律ではSwitch2のような「物品」の転売は対象外です。チケットは「権利」の売買であり、本人確認が前提になっているため法律での縛りが効きやすいのですが、家電やゲーム機などの「商品」は通常の取引対象とされており、価格を自由に設定して売ること自体は違法ではありません。
しかし、「悪質な買い占め」や「市場価格の操作」など、社会的な問題に発展している以上、新たな法律の整備が必要とされています。例えば、フランスや韓国などでは特定商品の転売を制限する法制度があり、一定の効果を上げています。日本でもこうした海外の例を参考にしながら、法改正を検討する時期に来ていると言えるでしょう。
メーカー・販売店側の抽選販売の工夫
現在、多くの販売店やメーカーでは転売対策として「抽選販売」を導入していますが、それでも抜け道は多く存在します。そのため、より効果的な工夫が求められています。
たとえば、任天堂や大手家電量販店では、会員登録情報に基づいた抽選や、購入履歴に応じた「優先抽選」などを実施しているケースがあります。これにより、「実際にゲームを遊ぶ意思のある人」が当選しやすくなる工夫がなされています。
また、「当選者のみ購入できる専用ページを発行する」「店舗での本人確認を徹底する」など、リアルとオンラインの両方を組み合わせた仕組みも有効です。これにより、ボットや複数アカウントによる応募を減らし、よりフェアな販売が可能になります。
さらに、商品の「分割出荷」もひとつの手です。一度にすべての在庫を出すのではなく、数回に分けて販売することで、転売ヤーの在庫コントロールを難しくし、市場価格の安定化を図ることができます。
顧客登録制の導入による制限
転売対策として近年注目されているのが「顧客登録制」の導入です。これは、商品を購入する際に名前・住所・電話番号などの個人情報を事前に登録し、一定の条件を満たす顧客のみが購入できるようにする仕組みです。すでに一部の高級スニーカーや限定商品では導入されており、一定の効果を上げています。
Switch2でもこの方式を導入すれば、転売目的の大量購入を抑制する効果が期待できます。たとえば、「同一世帯で1台まで」といった制限を設けることで、公平性を確保しやすくなります。また、購入履歴と連動させて「過去に高額転売の実績があるアカウント」は抽選から除外するなどの対策も可能です。
ただし、プライバシーの問題や、システム構築のコストといった課題も存在します。すべての販売店が一律に導入するのは現実的ではないかもしれませんが、少なくとも大手店舗では、こうした制度の導入を本格的に検討する価値があります。
政府や自治体の対応と限界
転売問題は企業だけでなく、社会全体の課題として捉える必要があります。政府や自治体が積極的に関与し、法整備や啓発活動を行うことが求められています。
たとえば、消費者庁や経済産業省が中心となって「不正転売の実態調査」や「注意喚起のキャンペーン」を行うことは、社会的な意識を高めるうえで重要です。また、フリマアプリ運営会社への指導や、取引履歴の監視強化なども有効です。
しかし、現状では転売そのものを明確に規制する法律が存在しないため、行政が介入できる範囲には限界があります。個別に悪質なケースを取り締まることはできても、全体的な抑止力にはなりにくいのです。
そのため、政府や自治体は「教育」や「啓発」に力を入れ、社会的なモラルの向上を図ることが現実的な対応策と言えるでしょう。たとえば、学校教育や地域イベントで「転売の問題点」を伝える機会を設けることも、長期的には有効です。
ユーザーができる対策とは?
転売を防ぐために、私たちユーザー一人ひとりにもできることがあります。まず最も大切なのは、「転売から買わない」という姿勢です。高額な商品に手を出さず、正規ルートで購入する努力を続けることで、転売ヤーの利益を減らし、市場を健全に保つことができます。
また、SNSや口コミサイトなどで、「転売品を買ったけどトラブルにあった」という情報を共有することも効果的です。多くの人がそういった情報に触れることで、転売品のリスクを正しく理解するようになります。
さらに、各販売店が実施する「事前登録」や「会員限定抽選」に積極的に参加することも、正規の購入ルートを広げる一歩になります。特に家電量販店などでは、購入履歴が重視される場合があるため、普段からその店舗を利用しておくと有利になるケースもあります。
何より重要なのは、転売を「普通のこと」として受け入れないことです。社会全体が「正規価格で買うのが当たり前」という空気を作り出すことこそ、最大の抑止力になるのです。
今後の展望と私たちにできること
Switch2発売後の動向予測
Switch2の発売が正式に発表されれば、再びゲーム業界全体に大きな注目が集まることは間違いありません。その注目度に比例して、初期需要も高まり、転売問題も一気に表面化するでしょう。特に、初回出荷分は数量が限られるため、「発売初日で完売」「翌日にはフリマアプリで10万円超えの出品が続出」という事態も十分に予想されます。
また、Switch2は従来のSwitchからスペックが大きく進化すると言われており、新作ゲームの専用タイトルも続々登場することが見込まれています。このため、ゲームファンだけでなく、親子世代やYouTuber、ストリーマーなど、さまざまな層からの需要が集中する可能性が高く、ますます競争が激しくなるでしょう。
こうした中で、メーカーや販売店がどれだけ早く・効果的に転売対策を講じられるかがカギになります。また、ユーザー側も冷静な対応を心がけ、過剰な買い占めや過熱した価格競争に巻き込まれないよう注意が必要です。
ゲーム業界全体の倫理的課題
転売の問題は、単なる消費者間のトラブルではなく、ゲーム業界全体の「倫理的な課題」としてとらえるべきです。なぜなら、ゲーム機やソフトは「誰もが平等に楽しむためのエンターテインメント」であり、それが一部の利益目的の人たちによって制限されるのは、本来のゲーム文化の精神に反しているからです。
業界全体で「どうしたら正規価格で、必要な人に商品が届くか?」という課題に真剣に向き合う必要があります。そのためには、ハードウェアだけでなく、販売方法、マーケティング、流通管理まで含めた包括的な視点での見直しが必要です。
また、ゲームメディアやクリエイターもこの問題を積極的に取り上げ、ユーザーへの啓発活動に協力することが求められています。単に「発売しました!」と告知するだけでなく、「転売に手を出さないで」というメッセージをセットで発信するような取り組みも増えていくべきです。
正規価格での購入を守るための啓発
消費者が正規価格で商品を買うことを守るためには、「啓発活動」がとても重要です。たとえば、メーカーや販売店が「この商品は転売目的での購入を禁止しています」と明記したり、「定価購入を応援しよう!」というキャンペーンを展開することで、多くの人の意識に働きかけることができます。
さらに、学校や家庭で「転売とは何か?なぜ問題なのか?」を教えることも、子どもたちの正しい金銭感覚を育てる一環として有効です。ゲームを買うという行為を通して、モラルや公正さについて学ぶ機会にできれば、転売に頼らない文化を少しずつ育てていくことができるはずです。
もちろん、インフルエンサーやYouTuberなどの発信者も大きな影響力を持っているため、「正規で買って使うことの大切さ」を伝える動画や投稿が、若い世代に響くこともあります。そうした発信を通じて、より多くの人が「高くても買えばいい」ではなく、「待ってでも正規で買う」という考えに変わることが期待されます。
転売の需要を抑えるという考え方
転売が成立するのは、「高くても買いたい」という人がいるからです。つまり、供給が足りないという問題だけでなく、消費者の側に「待てない」「とにかく早く欲しい」という心理があることも、問題を複雑にしています。
ここで重要なのが、「需要を冷静にコントロールする」という考え方です。Switch2が発売されたとしても、数カ月後には在庫が安定し、定価で買える状況になる可能性が高いのです。焦って高額な転売品に飛びつくのではなく、「しばらく待てば正規で買える」という冷静な判断を持つことが、転売市場を縮小させる第一歩になります。
また、家族間で「発売直後は混乱するから、少し落ち着いてから買おうね」と話し合ったり、SNSで「高額転売には手を出さない」といった意思表示をしたりすることも、需要を抑える有効な方法です。需要が落ち着けば、転売ヤーの利益も減り、結果的に市場全体が健全化していきます。
賢く付き合うための意識改革
転売問題に対処するうえで最も大切なのは、「消費者の意識改革」です。「転売は悪い」と口では言っていても、実際には「仕方ないから買った」という行動が、問題を助長していることがあります。私たち一人ひとりが、行動の中で「公平さ」や「モラル」を意識することが必要です。
たとえば、購入する前に「これは本当に正規のルートか?」「この価格は妥当か?」を一度立ち止まって考える習慣を持つことが重要です。また、子どもにも「買えなかったからといって焦らなくていいんだよ」と伝えることで、過度なプレッシャーから守ることもできます。
さらに、企業や政府に「もっと対策をしてほしい」と声を上げることも一つの方法です。SNSやアンケート、意見箱などを通じて、転売対策に対するニーズを示すことで、社会全体の意識が高まり、より強い対策が講じられるきっかけになります。
このように、「一人の声では変わらない」とあきらめるのではなく、小さな行動や意識の積み重ねが、大きな変化を生む力になるのです。
まとめ
Switch2の登場により、再び転売問題が注目されることは確実です。転売は一見すると個人間の自由な取引に見えるかもしれませんが、その裏には多くの社会的な問題が隠れています。価格の高騰、入手困難、本当に欲しい人への不公平、小売業者やメーカーへの悪影響、そして子どもたちへの心理的ダメージまで、多岐にわたる問題が存在します。
しかし、この問題に対する解決策は決してひとつではありません。法律の整備、販売方法の工夫、ユーザーの意識改革など、多方面からのアプローチが必要です。何より大切なのは、私たち一人ひとりが「正しく買う」ことの大切さを理解し、日常の中で実践していくことです。
今後、Switch2が発売された際には、ぜひ冷静に、正規ルートでの購入を心がけましょう。そして、転売を「普通のこと」として許してしまわない社会を、みんなでつくっていきましょう。